こんにちは、こぱんだです🐼
今日は、少しセンチメンタルな投資の話を。
“好き”と“投資判断”の間で揺れた日。
長年持っていた コタ(COTA) の株を、ついに手放しました。
🪞好きで買った銘柄だった
私がコタ株を買った理由は、とてもシンプル。
もともと コタのシャンプーが本当に好きだった からです。
市販では出せないクオリティ。
香り、使い心地、仕上がり、どれをとっても格が違った。
そして何より、株主優待でその製品を毎年もらえるのが嬉しかったんです。
届くたびに「やっぱりこの会社が好きだな」と思っていました。
だからこそ、売却を決めたのは簡単ではありませんでした。
🧴市場環境の激変。市販品の進化とインフレの圧力
ここ数年で、美容市場の構造そのものが激変しました。
まず、市販シャンプーのクオリティが一気に向上したこと。

大手メーカーは研究開発費に桁違いの金額を投じ、
サロン専売品に匹敵する品質の製品を
スケールメリットを活かして適正価格で量産できるようになりました。
以前は「美容室専売だからこそ買う」価値がありましたが、
今は市販でも“髪に優しく、香りも上質で、サロン級の手触り”のものが手に入ります。
実際、最近の市販品には、以前はサロン専売品でのみ見られた
アミノ酸系やPPT(ポリペプチド)系の高補修成分を主成分とするものが増えており、
一部の美容師が市販品を推奨するほどの進化を遂げています。
(出典:美容系メディアより)
そして、この変化を加速させたのがここ数年のインフレ。
原材料費や生活必需品の値上げが続くなかで、
消費者にとって「シャンプーにかける金額を少し見直そう」と考えるのは自然な流れです。
実際、私自身も家族用に買った市販品で
「これで十分いいな」と思うことが増え、
「コタじゃなきゃダメ」という理由が薄れていきました。
高品質な製品が次々に登場し、家計の圧迫も加わることで、
コタ製品が提供してきた「最高級品を選ぶ必然性」が
少しずつ失われていったのです。
💬香りが控えめで泡立ちも良く、髪がしっとりまとまります。
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💰還元の減少と、株主との距離感
もうひとつ感じていたのは、株主への還元姿勢の変化です。
かつては配当こそ控えめでも、
2024年まで続けていた株式分割など、
「誠実に株主を大事にしてくれている」と感じる瞬間が多くありました。
でも最近はそのような施策も減り、
代わりに目立ったのが 優待シャンプーの転売対策の徹底化。
具体的には、転売が確認された株主に対し、
優待に関する権利の停止期間を 翌年以降3年間 に延長するという、
非常に厳しい措置を導入しています。
(出典:コタ株式会社株主還元ページより)
ブランドを守るための正しい判断だと思います。
けれど、投資家の多くは“美意識よりもビジネス”で動く。
結果として、「投資妙味が薄れていった銘柄」から
資金が離れていくのは、自然な流れだと思います。
⚙️誠実ゆえに“守りすぎた”無借金経営
コタは今でも無借金経営の優良企業です。
健全で堅実。派手さはないけれど、美しい財務を保っています。
ただ一方で、業界の構造が変わる中、
大手メーカーという現実的な脅威にどう立ち向かうのかという課題が見えてきました。
さらに、コタは美容室を通じてしか販売できない仕組み。
メーカー自身が販促や価格戦略を直接コントロールすることが難しい。
いくら良い製品を作っても、自社の力で広められないという
構造的な弱点 があるのです。
守りの経営には安心感があります。
けれど、「借りないこと」自体が目的化してしまうと、
販売チャネルの変革といった挑戦の機会を失う。
誠実さの裏で、静かに衰退が進むリスクを感じてしまいました。
📉企業の沈黙と投資家の静かな離脱
これまでのコタは、高品質な株主優待と現実的な還元で、
何も言わなくても株主がついてきた企業でした。
でも今のように成長の方向性が見えず、
企業側からの発信も少ないと、
どうしても“投げやり”に見えてしまう瞬間があります。
たとえ今後、自己株式の取得などを行っても、
構造が変わらない限り、それは一時的な株価対策にすぎません。
市場は一瞬反応しても、結局は大きな波に抗うことはできないのではないか。
それを望んでいたわけではないからこそ、
私は「好きなうちに、手放そう」と思いました。
🪞好きで買った銘柄を、理性で手放すということ
結局、私が手放した理由はシンプルです。
このまま資金を置いておくよりも、
次の成長に向かう企業に託したい という気持ちが勝った。
それでも、コタという企業への敬意は今も変わりません。
誠実で、堅実で、嘘をつかない企業。
だからこそ、環境の変化に飲まれていく姿が少し切ないのです。
もしかしたら、いつかまたサロン専売ブランドの価値が評価される時代が来るかもしれません。
でも今は、いったん距離を置いて、静かに見守る時期。
🌿おわりに
私にとって投資判断は、日々の暮らしの延長線上にあります。
生活の中で肌で感じたコタのビジネスの弱点と、
企業との付き合いで見えてきた構造的な課題を踏まえ、
残念ながら現時点では希望を見出すことが出来なくなってしまいました。
好きな企業への感情は残っても、
下がり続ける株価と資金の機会損失を我慢して持ち続けることはできませんでした。
誠実にモノづくりをしてきた企業を見送るのは寂しいですが、
これもまた、愛着と理性を切り離し、
次の成長に資金を託すという、投資家としての重要な決断 なのだと思います。
それでも、コタのシャンプーを好きな気持ちは、今も変わりません。

今日も読んでくださってありがとうございます☺️
生活の中で感じた“変化の兆し”を、投資の視点からも見つめ直す——
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